
レディ・プレイヤー1公式サイトから引用(©2018 Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved.)
VRという技術がこの世の中に登場して何年が経っただろうか。VRとはVirtual Realityの略で仮想現実を意味する。
VRゴーグルを使った仮想世界に入り込む没入体験は唯一無二だと思う。(使ったことないけど)
もし、VRの世界が当たり前になり、全世界の人間がVRを通じて仮想世界でゲームを楽しむようになったらどうだろう。
仮想世界が現実とは異なる第二の世界となり、その世界で誰もが主人公としてゲームクリアに向けて奔走する。
本記事では、こんな夢のような世界観を映像にした作品を紹介する。
ちなみに、監督は誰でも知っているであろうあのスティーブン・スピルバーグ。
何を食べたらスピルバーグのような想像力を手に入れられるのだろうか。
映画『レディ・プレイヤー1』あらすじ(ネタバレ無し)
現実逃避のできるVR世界でゲームの主人公に

舞台は2045年の荒廃した街。
主人公の17歳の少年もこの荒廃した街に住んでいるわけだが、そんな少年にも希望がある。
それは、"オアシス"と呼ばれるVR世界である。
自分の思い描く姿に変え、好きなところに自由に移動ができるという、現実とは異なる、そして現実より理想の世界であったのだ。
人々はこのオアシスを憩いの場としていたが、ある時オアシスの創設者の遺言が発表される。
オアシスに3つのクエストを残した。クエストを発見し、クリアした者に全財産とオアシス所有権を授ける。
この遺言を聞いた17歳の少年も3つのクエストに挑戦するのであった。
VR世界で繰り広げられるゲームに挑め

VR世界には3つのクエストが存在する。
既に1つのクエストは見つかっており、レースゲームで無事にゴールすればゲームクリアとなる。
このレースゲームをクリアするのは至難の業であり、主人公もなかなかクリアできない。
そんな中、主人公の少年はゲームをクリアするために創設者の残した謎の攻略を始めるのであった。
時を同じくして、オアシスの所有権を獲得し、世界の支配を目論む巨大企業も参戦し、この壮大な世界の争奪戦は激化していく。
この争奪戦を制する者は誰なのか。
映画『レディ・プレイヤー1』レビュー
現実とVR世界の対比

この映画の世界観でもあるVR世界に注目されがちだが、現実世界もしっかりと描かれていることに注目したい。
あくまでVR世界はユーザーの思い描く姿を具現化したキャラクターでしかなく、現実世界と干渉はない。
とは言っても、VR世界で匿名で生きていても、本名や素性がばれてしまっては現実の世界でも影響が及ぶこととなる。
この二つの世界の特徴こそが、この映画の最大のテーマであり、世界観を面白くしている所以だろう。
水曜日のダウンタウンの名探偵津田ほどではないにせよ、現実とVR世界を行き来するため、今どっちの世界にいて、この人はどっちの世界を生きているのか?を考えながら観るとよいかもしれない。
スピルバーグらしい冒険映画
この映画を一言で形容するなら、アクション要素のある謎解きアドベンチャーである。
ストーリー構成で言えば、「冒頭(世界観の説明)→ゲーム①→ゲーム②→ゲーム③→結末(誰がゲームに勝ったのか)」というシンプルな構成だ。
もちろんだいぶそぎ落としているのでこの構成だけ見れば陳腐なものになりうるのだが、それぞれのゲームの中にも謎解きやゲームクリアまでの試行錯誤があり、映画全体もさることながら、細部まで中身の詰まったものになっている。
全体を通して飽きることのない作品であり、約2時間が一瞬で過ぎるような工夫が張り巡らされているように感じる。
映画『レディ・プレイヤー1』感想
オマージュのオンパレード
まったくの初見でこの映画を観たわけだが、「あっ、このシーンってあの映画のオマージュだ!」なんて気づく箇所がなんて多いことか。
オマージュどころか、もはやそのまんま登場しているものもある。
めちゃくちゃ映画を観てきたわけではなく、有名作品に限ってもそこまで造詣が深いわけではない自分でもたくさんのオマージュを見つけられた。
そのまんま登場したものでいえば、冒頭で主人公がオアシスの世界に入り込む場面でマインクラフトがそのまんま出てきたり、AKIRAのバイクだとか、バックトゥザフューチャーのデロリアンとか、ガンダムとか。
オマージュでいっても、ドアから顔を覗き込ませているポスターでおなじみのシャイニングだったり、親指を立てて沈む姿でおなじみのターミネーターだったり。
本当の映画好きなら、あれもこれもオマージュだなんて気づけるんだろうが、自分はそこまで気づけなかったように思う。
とはいえ、そんな映画に詳しくない自分でもたくさんのオマージュに気づけたわけだから、飽きることなく最後までぶっ通しで観ることができた。
VR世界の人々の結びつき

この映画の最大のテーマでもあるVR世界。
オアシスというデジタル世界で様々な人と出会い、ゲームの世界での結びつきとして主人公をはじめとしたキャラクターが生きている。
どんなに現実が苦しくても、オアシスというゲームの世界に入れば理想の自分どうしで触れ合うことができるため、オアシスはこれ以上ない夢のような憩いの場となっていた。
だが、人々は本当にデジタルでの結びつきだけで満足するのであろうか。
もちろんデジタル社会では現実世界では想像できなかった出会いがあるし、匿名であれば理想の自分として生きていくことができる。
悪い話ではないように思うが、デジタルの世界では満たされないものがあるはずだ。
それは何か。
答えてしまってはこの映画を観る価値がなくなってしまうので、ぜひそれぞれの視点で映画を鑑賞し、現実世界でしか得られない栄養を自分なりの言葉にしてほしい。
ちなみに、最近自分も在宅ワークが多く、人との結びつきを感じる機会が少ない。
もちろんチャットでのコミュニケーションはとるものの、そこにあるのは文字だけ。
人の温かみもなければ、刺激も感じない。
個人的には、人と触れ合うことでしか得られない感情があるし、それが生きているということなのかなと思う。
事件は現場で起きている。人と会わずして、感情を揺さぶるという事件は起きないのだ。
そう感じさせてくれる作品だった。
おすすめ記事
【小説『十戒』(夕木春央)レビュー】奇妙な十戒にあなたは踊らされる
相変わらずの夕木春央である。 いわゆる"密室殺人"の状況を描き、最後に明かされる殺人犯は相変わらず予測不能。 読書界隈では話題を呼んだ同著者の作品『方舟』に続き、今作品『十戒』も夕木春央ワールド全開なので、ぜひどんでん返しの餌食になってほしい。 ちなみに、モーセの十戒とのつながりはおそらくあまりなく、シンプルに作中で10の戒律が定められることからこのタイトルがついたのだと思う。 (モーセの十戒のうち、第6戒の「殺してはならない」という戒律に関しては真っ向から破っている。) とはいえ、カルト宗教を信仰する親 ...
【文学フリマ東京43のあれこれ#1】ノリと勢いだけで文学フリマへの出店申し込みをした話
ノリと勢いで押した文学フリマ東京43への出店申し込みボタン 20年前には文学フリマに出店する運命が決まっていた 昔から本を読むことが好きだった。 きっかけは東野圭吾さんの『あの頃ぼくらはアホでした』という本だ。 当時小学生だった自分は、「世の中にこんな面白い話を書く人がいるのか」と衝撃を受けたものだ。 その本をきっかけに本という世界にのめりこんだが、本を読むたびに思ってしまう。 「自分も面白い本を書いてみたい」と。 そうして血迷った自分は、文学フリマへの出店申し込みのボタンを押し(てしまっ)たのであった。 ...
【小説『方舟』(夕木春央)レビュー】人の醜さにあなたは騙される
「方舟」と聞くと「ノアの箱舟」を思い浮かべる人が多いだろう。 「ノアの方舟」については、記事の中盤あたりで解説を入れるが、簡単に言えば、「旧約聖書の『創世記』に登場する、大洪水から命を守るための巨大な船」である。 そして、この『方舟』というタイトルから「ノアの方舟」を連想させるが、本作品に登場する"方舟"は命を救うものなのだろうか。 いわゆる"どんでん返しのミステリー"として大注目を浴びていたが、個人的にはどんでん返し以上に"人の醜さ"が描かれているところに作品の本当の面白さが描かれていると思っている。 ...
【映画『爆弾』レビュー】|取調室で繰り広げられる心理戦が生み出す極上のもどかしさ
この映画を一言で表すのなら、ファイブボンバーテロリズムと言いたい。 ファイブボンバーを解けなかったらめっちゃ人が死ぬ。 それなのに、解いてしまったら醜さを露呈することになる。 まさに、ファイブボンバーの問題がすべてトロッコ問題になっている状態だ。 ほんまごめんとか言ってる場合じゃない。 取調室で展開されるクイズと心理戦、そしてそれらに翻弄される現場の緊張感をぜひ堪能してほしい。 公式サイトのっけとく:https://wwws.warnerbros.co.jp/bakudan-movie/ 映画『爆弾』あら ...
【小説『君のクイズ』(小川哲)レビュー】問題.彼は何を追い求めているのでしょう?
ここ数年でクイズの人気は爆発的に上がったと思う。 地上波のテレビでいえば、ネプリーグや東大王(2024年に終わっていたらしい)などが思いつく。 早押しで回答する形式が一般的だが、フリップで回答するものもあれば、時間制限内にできるだけ多く回答する形式のものもある。 いろんな形式があるが、問いがあり、それらに回答するという形式は変わらない。 それがクイズというものだ。 そこで問題です。あなたにとってのクイズとは何ですか?一つ答えよ。(声の出演:関口宏) さぁ走って!(声の出演:渡辺正行) ※東京フレンドパーク ...
記事検索
同じカテゴリの記事
【映画『レディ・プレイヤー1』レビュー】VR世界を生きる自分と現実世界を生きるということ
レディ・プレイヤー1公式サイトから引用(©2018 Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved.) VRという技術がこの世の中に登場して何年が経っただろうか。VRとはVirtual Realityの略で仮想現実を意味する。 VRゴーグルを使った仮想世界に入り込む没入体験は唯一無二だと思う。(使ったことないけど) もし、VRの世界が当たり前になり、全世界の人間がVRを通じて仮想世界でゲームを楽しむようになったらどうだろう。 仮想世界が現実とは異なる第二の世界 ...





