【映画『爆弾』レビュー】|取調室で繰り広げられる心理戦が生み出す極上のもどかしさ
この映画を一言で表すのなら、ファイブボンバーテロリズムと言いたい。 ファイブボンバーを解けなかったらめっちゃ人が死ぬ。 それなのに、解いてしまったら醜さを露呈することになる。 まさに、ファイブボンバーの問題がすべてトロッコ問題になっている状態だ。 ほんまごめんとか言ってる場合じゃない。 取調室で展開されるクイズと心理戦、そしてそれらに翻弄される現場の緊張感をぜひ堪能してほしい。 公式サイトのっけとく:https://wwws.warnerbros.co.jp/bakudan-movie/ 映画『爆弾』あら ...
【小説『君のクイズ』(小川哲)レビュー】問題.彼は何を追い求めているのでしょう?
ここ数年でクイズの人気は爆発的に上がったと思う。 地上波のテレビでいえば、ネプリーグや東大王(2024年に終わっていたらしい)などが思いつく。 早押しで回答する形式が一般的だが、フリップで回答するものもあれば、時間制限内にできるだけ多く回答する形式のものもある。 いろんな形式があるが、問いがあり、それらに回答するという形式は変わらない。 それがクイズというものだ。 そこで問題です。あなたにとってのクイズとは何ですか?一つ答えよ。(声の出演:関口宏) さぁ走って!(声の出演:渡辺正行) ※東京フレンドパーク ...
【小説『さいはての彼女』(原田マハ)レビュー】パワフルがどん底から引き上げてくれる
どん底とまで言わなくても、ちょっとつらいなとか、気分が乗らないなとか、ちょっとだけ落ち込んでしまうことは誰にでもあると思う。 そういったとき、どうやって克服しますか? 自分の力で克服できる人もいると思います。 でも、誰かが手を差し伸べてくれたり、誰かが背中を押してくれたり、自分からついていこうとしたりと、誰かの存在がびっくりするほどの活力を生むのではないかと思います。 この記事では、どん底を味わった人、落ち込むような出来事があった人が、人との出会いやかけられた言葉に救われ、再び歩み始める小説を紹介します。 ...
【小説『君が手にするはずだった黄金について』(小川哲)レビュー】絶対に人間観察が好きになる
あなたは考えることが好きですか? 好きと答えたあなたへ。今から紹介する本はぶっ刺さります。 そこまで好きじゃないと感じたあなたへ。今から紹介する本を読めば、考えることが楽しくなると思います。 考えるってどうやるの?って思ったあなたへ。ぜひこの本を手に取って、”考える”ということを体現している人を感じ取ってみてください。自然と考えられるようになっています。そして、考えることが楽しくなっていることでしょう。 この本が向かない人はいるのかって?考えることをあきらめた人でしょうか。 でも、そんな人でも楽しめる作品 ...
【芥川賞候補 小説『##NAME##』(児玉雨子)】私の過去は希望に満ちた闇
夢小説って知っていますか? 夢小説とは、漫画やアニメなどの既存のコンテンツの二次創作の一種であり、読者自身やオリジナルキャラクターをストーリーに登場させて愉しむ小説である。 特に、自身の名前を夢小説の主人公に設定できることが多く、読者が世界観に没入しているような体験ができるという特徴がある。 では、ジュニアアイドルも知っていますか? ジュニアアイドルとは、広義的な意味でいえば未成年の芸能活動をしている人を指す。 だが、ジュニアアイドルの狭義的な意味かつ今回紹介する本のテーマで言えば~中学生程度で写真集やイ ...
【映画『レディ・プレイヤー1』レビュー】VR世界を生きる自分と現実世界を生きるということ
レディ・プレイヤー1公式サイトから引用(©2018 Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved.) VRという技術がこの世の中に登場して何年が経っただろうか。VRとはVirtual Realityの略で仮想現実を意味する。 VRゴーグルを使った仮想世界に入り込む没入体験は唯一無二だと思う。(使ったことないけど) もし、VRの世界が当たり前になり、全世界の人間がVRを通じて仮想世界でゲームを楽しむようになったらどうだろう。 仮想世界が現実とは異なる第二の世界 ...
【小説『二人一組になってください』(木爾チレン)レビュー】スノードロップは何度も咲く
自分はいじめられる側の気持ちがわからない。 なぜなら、どんなに想像を膨らましても、どうしても実際にいじめられたことがある人の解像度には遠く及ばないからだ。 もちろんいじめたこともない。そのつもりだ。 でも、自分がいじめなければ、それはいじめがなかったことになるのか。 人はみな誰かに対して好感や嫌悪感を抱く。 その思いが行動に現れるか、感情にとどまるかの違い。 だが、思いとどめているつもりが、”関わらない”という行動に現れていることもあるのではないか。 そんななか始まるデスゲーム。 もしあなたがこのデスゲー ...
【小説『殺し屋の営業術』(野宮有)レビュー】キーエンス社員でも殺し屋の営業マンにはなれない
この本を読みながらこんなことを考えていた。 営業という職種で有名な企業と言えば"キーエンス"だ。キーエンス社員は果たして殺し屋の営業マンになれるのだろうか。 たぶんこれから紹介する本を読んだ感想として、こんなことを考える人間はこの世に10人もいないんじゃないか。 馬鹿げたことを言い始めたわけだが、一度よぎってしまったが最後、もう考えずにはいられない。 この考察はおまけ程度で記事の最後に書いておく。(そんなに面白くない) それでは、野宮有『殺し屋の営業術』のレビューと共に、馬鹿げた想像にご付き合いいただきた ...
【新書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆)レビュー】読書はノイズとの出会いの場
まえがき 執筆時点(2025年12月末)でも初版の出版からだいぶ時間が経っているが、未だに話題になり続けている話題の本です。(自分の周りだけかもだが) この記事を読んでいる人は、働いていても普通に本が読める本好きか、手っ取り早く要点を抑えてわかった気になりたい人だと思う。 前者については、ぜひ皆さん自身の思う"なぜ働いていると本が読めなくなるのか"の理由と、この記事の主張を比較するなりなんなりしてほしい。 賛否があるからこそ、その賛否を愉しんでほしい。レスバとかしなくていいので「いろんな意見があるな~」く ...
【小説『最後のトリック』(深水黎一郎 )レビュー】この本を読んだあなたは殺人犯になります
これまでそこそこな数のミステリー小説を読んできた。どの本も二つとして同じトリックはないが、抽象化すれば似通ってしまうトリックが多いと思う。 本文中でも少し触れられているが、The ミステリーというような犯人のアリバイを崩していくタイプのものから、警察組織を描くもの、社会的なものまで、ミステリーが取り扱うテーマは広がってきた。 その中でも、犯人に工夫を加えるタイプのトリックはもう出尽くしたんじゃないか。 捜査していた警察官が犯人だとか、過去の自分が犯人だとか、犯人が死んでいるだとか。 でも、ひとつだけ実現で ...









